
同じ読み方でも部首が違う漢字って結構ありますよね。
例えば、行ニンベンの「徹」と手ヘンの「撤」。どちらも読みは「てつ」ですが使い方が違ってきます。
「今夜はてつや」のてつは?
「てってい的」のてつは?
「発言をてっかいします」のてつは?
いざ文字に書こうとすると迷われることも多いのではないでしょうか?
この記事では、それぞれの部首の意味や実際の使い方を例を挙げて解説します。
部首の違い
まず、この2つの漢字は見た目が非常に似ており、読み方も同じ「てつ」ですが、部首が異なり、それぞれ全く異なる意味を持っています
「徹」(行ニンベン)の使い分け
「徹」の部首は「行人偏(ぎょうにんべん)」で、「道」や「行くこと」に関連する文字を作ります。
人の足が連なった形を表し、歩く、行くなど、道や歩行、脚の動作、また「前に進み出ること」などの意味を持ちます。
方向性のある文字に使われることが多いです。
「徹」が使われる言葉は、「突き通す」「貫く」「とことんまで行き届く」「休みなく続ける」「ある時間をすべてその一つのことに当てる」「奥まで沁み透る(心の奥まで深く感じる)」といったニュアンスです。
具体的な使い分けのポイントとしては、その言葉が示すものが、何かに対して「徹底している」か、あるいは気迫を感じるほどに「沁み透っている」様子か、を思い浮かべると良いでしょう
具体的ない使用例挙げると・・・
■ 徹夜(てつや)
ただ単に起きているだけでなく、朝にかけて夜通し、とことん起きている状態を指します。
■ 頑固一徹(がんこいってつ)
頑固さが全方向に貫かれている様子です。
■ 初志貫徹(しょしかんてつ)
最初の気持ちや志を最後まで貫き通すこと。
■ 夜を徹して見張りをする
夜一晩という時間を休むことなく見張りに捧げること。
■ 骨身に徹する
寒さが心底、骨身に沁み透っている様子。
■ 善意に徹する
人から何を言われようと、とことん貫いている状態。
■ 徹底的(てっていてき)
物事を最後までやり通すこと。
「撤」(手ヘン)の使い分け
「撤」の部首は「手偏(てへん)」で、「手」に関係するものが多く、手を使って物の通りを良くする、または手を使って何かを行う、といった意味でよく使われる漢字です。
「撤」が使われる言葉は、「その場から何かを取り除く」「取り下げる」「取り払う」といったニュアンスです。
具体的な使い分けのポイントとしては、「撤」の部分を「取り除く」や「取り下げる」に置き換えて考えてみて、大体の意味が伝わるようであれば「撤」を使う、と分かりやすくなります。
具体的ない使用例挙げると・・・
■ 撤去(てっきょ)
手を使って何かを取り除く作業。
■ 撤回(てっかい)
前の発言を取り下げること。
■ 撤退(てったい)
その場を取り払って(退かすようにして)退去すること。
■ 撤収(てっしゅう)
その場から人々や物を「取り去る」手段、作業。
■ 撤廃(てっぱい)
規則などを取り払うこと。
まとめ
最後にこれまでの記事をまとめると・・
行ニンベンの「徹」
「貫く」「徹底する」「とことん行き届く」「染み透る」「継続する」といった、物事や状態が深くまで及ぶ、または最後までやり通す意味合いで使われます。
手ヘンの「撤」
「取り除く」「取り下げる」「取り払う」「引き上げる」といった、何かを移動させたり、なくしたりする意味合いで使われます。
どちらの漢字を使うか迷った際には、それぞれの部首が持つ意味と、上記で挙げた意味のポイントを思い出すと、適切に使い分けができるでしょう