
ポップコーンとケトルコーンとは?
映画館やフェスティバルでおなじみのポップコーンと、最近じわじわと注目を集めているケトルコーン。どちらもトウモロコシから作られるスナックですが、味わいや製法には意外な違いがあります。まずは、それぞれがどんなお菓子なのかを見ていきましょう。
ポップコーンとは?

ポップコーンとは、「pop corn」という英語をカタカナ表記したもので、トウモロコシの種を熱することによってはじけさせたお菓子を指す言葉です。
トウモロコシの一種であるポッピングコーン(膨張トウモロコシ)を加熱することで作られ、この特殊なトウモロコシは硬い殻に覆われ、内部に少量の水分と澱粉を含んでいます。
加熱により内部の水分が蒸気となり、圧力が上がって殻が破裂し、中の澱粉が膨張して柔らかい白くふわっとした形状になります。
ポップコーンは植物界のイネ科に属する全粒スナックです。
ケトルコーンとは?

ケトルコーンとは、「kettle corn」という英語をカタカナで表記したもので、その名前の通り、大きな「やかん」(Kettle)を使って作ったトウモロコシのお菓子を指します。
ポップコーンのうちの一種であり、甘味と塩味のバランスが取れた独特の味わいが特徴です
それぞれの歴史は?
ポップコーンの歴史は非常に古く、紀元前3600年頃にメキシコで最初に作られたとされています。アメリカ大陸の先住民が数千年前からトウモロコシを使って作っていたことが知られています。
もともとはアメリカのネイティブアメリカンの間で食べられていたものが広く伝わり、「ポップコーン」と呼ばれるようになりました。19世紀に米国東海岸でトウモロコシの穀粒が手に入るようになり、人気を博しました。
19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカのスナック文化で急速に普及し、特に映画館での定番スナックとして定着しました。
1890年代にポップコーンメーカーが発明されて以来、さらに普及し、人気が高まり、大恐慌時や第二次世界大戦中には、低コストで簡単に作れるため、多くの人々にとって重要な、手軽に楽しめるスナックとなりました。
アメリカで最も人気のあるスナック製品の一つです
一方、ケトルコーンの歴史も古く、18世紀に米国ペンシルバニア州のオランダ人入植者によって最初に作られました。もともとは、アメリカの初期開拓者たちの時代に、ヨーロッパからの移民が持ち込んだ調理法から生まれたものです。
19世紀に人気を博しましたが、20世紀には一時的に衰退し、その後21世紀にアメリカで復活しました。
特に、農村地域のフェスティバルや収穫祭などで振舞われることが多く、アメリカのカーニバルやフェスティバル、クラフトショーなどでは定番のスナックとして親しまれています。
製法と材料は?
ポップコーンの調理方法は非常にシンプルで、トウモロコシの粒を鍋や専用のポップコーンマシンで加熱するだけです。油を使う場合と使わない場合があり、家庭ではフライパンや電子レンジでも作られます。
主な材料はコーン、バター、塩の混合物です
ケトルコーンは、通常のポップコーンと同様にトウモロコシの粒を加熱して作られますが、その製法には独自の特徴があります。
伝統的には、大きなやかんや鋳鉄製の鍋、ダッチオーブンなどを使って調理されます。特に「鋳鉄大釜と大ヘラを使って、ダイナミックにポップさせる」のが特徴とされています。
味わいとフレーバー、日本での普及は?
ポップコーンの味は主に塩味で、最もシンプルな形では塩味のポップコーンが一般的ですが、加えるフレーバーによって味わいが大きく変わります。
バターを加えたり、キャラメル、チリ、チーズ、シナモン、バーベキュー味 など、多様なフレーバーが楽しめます。比較的中立な風味のため、ほとんどすべての種類の調味料によく適応します。軽い食感とパリッとした口当たりが特徴で、バターやオイルで調理された場合はさらにリッチな風味が加わります。
ケトルコーンの最も際立った特徴は、その甘味と塩味の絶妙なバランスです。
甘じょっぱい風味というように、砂糖のコーティングによる甘さがメインですが、ほんのりとした塩味がアクセントとなり、独特の甘くて塩辛い風味が生まれます。
食感は砂糖がカラメル状にコーティングされているため、パリッとした、砂糖のカリカリとした独特の食感が楽しめます。
ケトルコーンの日本での普及
日本ではまだポップコーンほど一般的ではありませんが、最近になって人気が高まり始めており、「農家さんのケトルコーンキッチンカー」のような専門店も登場しています。日本人も好む「あまじょっぱい味付け」であることから、今後さらに広く知られるようになることが期待されています
ポップコーンとケトルコーンの比較表
比較項目 | ポップコーン | ケトルコーン |
---|---|---|
起源と歴史 | 紀元前3600年頃にメキシコで最初に作られ、アメリカ大陸の先住民が数千年前から作っていたことが知られています 。19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカのスナック文化で急速に普及し、特に映画館での定番スナックとなりました。 | 18世紀に米国ペンシルバニア州のオランダ人入植者によって最初に作られました 。19世紀に人気を博しましたが、20世紀には一時的に衰退し、その後21世紀にアメリカで復活しました。 |
製法 | トウモロコシの粒を加熱することで作られます。 | 伝統的には、大きなやかんや鋳鉄製の鍋、ダッチオーブンなどを使って調理されます |
主な材料 | コーン、バター、塩の混合物。 | トウモロコシの粒、油、砂糖、そして塩の混合物。 |
味わい | 主に塩辛い味付けが一般的。 パリッとした口当たりが特徴です。 | 甘味と塩味の絶妙なバランスが特徴で、「甘じょっぱい」味わい。砂糖のカラメルコーティングによる甘さがメイン |
栄養価 | エアポップコーンは低カロリーで食物繊維が豊富で、抗酸化物質も豊富に含まれる健康的なスナック | 脂肪分は少ないが、糖分が多く含まれ、通常のポップコーンよりカロリーが高くなる傾向がある |
文化的背景 | アメリカの映画文化と密接に結びついており、映画館での定番スナックとしての地位を確立 | アメリカのカーニバルやフェスティバル、ファーマーズマーケット、クラフトショーなどで主に親しまれてきた特別なスナック |
日本での普及 | すでに日本でもお馴染みのスナックで、映画館などで広く認知されています | 近年、人気に火がつき始めており、専門店(キッチンカー)なども登場 |
まとめ:ポップコーンとケトルコーン、似て非なる“とうもろこし菓子”
ポップコーンもケトルコーンも、どちらもトウモロコシから生まれたスナックですが、その味わいや作り方にはしっかりとした違いがあります。
ポップコーンは、映画館でおなじみの「塩味」が基本。軽くてふわっとした食感が特徴で、バターやチーズなどのフレーバーも豊富です。
一方、ケトルコーンは「甘じょっぱい」味わいが魅力。砂糖と塩の絶妙なバランスがクセになる、カリッとした食感のスナックです。昔懐かしい縁日の味にも通じるものがあり、昭和世代にもきっと響くはず。
パンケーキとホットケーキの違いが曖昧だったように、ポップコーンとケトルコーンも「似てるけど違う」。そんなちょっとした違いを知ることで、次に食べるときの楽しみがぐっと広がります。