裂と烈の意味と使い分け

同じ読みでも部首によって意味が違ってくる漢字があります。

「烈」と「裂」もそのひとつ。

破レツ、猛レツ、分レツ・・・ 同じ「レツ」でも衣だったか点が4つのレッカだったか・・・

この記事では、その裂と烈のそれぞれの意味と使い分けと覚え方をまとめました。

「裂」の由来と使用例

日常でもよく使われる「裂(れつ)」という漢字。布がビリッと破れる様子を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、この漢字には意外と深い歴史と意味が込められています。

「裂」は衣と列の組み合わせ

「裂」は、漢字の分類でいうと「会意形声文字(かいいけいせいもじ)」にあたります。これは、意味を持つ漢字と音を表す漢字を組み合わせてできたもの。

  • 「列(れつ)」=切り分ける、並べるという意味と音を持つ
  • 「衣(ころも)」=衣服や布を表す意味

つまり、「裂」は「布を切り分ける」「布地を裂く」という行為を表しているのです。音も「列」に由来して「れつ」と読みます。

裂は「布を切り裂く」から「分割する」へ

「裂」という漢字は、衣服や布を切り裂くという具体的な行為から始まり、そこから「分ける」「引き裂く」といった抽象的な意味へと広がっていきました。

漢字の成り立ちを知ることで、言葉の奥深さや歴史的背景が見えてきます。今度「裂」という字を使うときは、ぜひその由来を思い出してみてください。

裂(レツ)の使用例

「裂」は、物を切り離したり、分ける行為、またはその結果生じる状態を表す際に用いられます。

熟語

  • 破裂(ハレツ):破れて裂けること。例:風船が破裂する。爆弾などが破裂すること(炸裂 サクレツ)。
  • 分裂(ブンレツ):ばらばらに分かれること。例:細胞の分裂。
  • 亀裂(キレツ):亀の甲羅のような形にひびが入ること。
  • 決裂(ケツレツ):①切れ裂けること。②会談・交渉などが物別れになること。
  • 支離滅裂(シリメツレツ):筋道が立たず、ばらばらでまとまりがないこと。
  • 裂傷(レッショウ):皮膚などの表面が裂けた傷。

動詞の訓読み

  • 裂く(さく):布を裂く、引き裂く。
  • 裂ける(さける):物が裂けて分かれること。

慣用句・ことわざ

  • 心を裂く:精神的な苦痛を表現する際に使用されます。例:心を裂くような(非常に辛い体験や悲しい出来事を表現する)。
  • 一石を投じて百裂の波を起こす:一つの小さな行動が大きな影響をもたらすことを意味することわざ。

「烈」の由来と使用例

「烈(れつ)」という漢字には、ただ「激しい」という意味だけでなく、古代から受け継がれてきた火の力と切断の象徴が込められています。

「烈」は激しく燃え盛る炎

「烈」は、漢字の分類でいうと「形声文字(けいせいもじ)」です。これは、意味を表す部分と音を表す部分が組み合わさってできた漢字のことです。

  •  意味部分:「(れっか)」=燃えさかる炎を表す
  •  音部分:「(れつ)」=「並べる」「切る」という意味と音を持つ

つまり、「烈」は「火が並び、激しく燃える様子」を表しており、そこから「激しい」「厳しい」といった意味へと広がっていきました。

甲骨文字に見る「烈」の原型

別の説では、「烈」の起源は古代中国の甲骨文字にあるとされています。そこでは、

  •  「火」=燃える力
  •  「刃」=強い力、切断の象徴

この2つが組み合わさり、「火のように激しい力」を表す文字として使われていました。時代とともに形が変化し、現在の「烈」の字に落ち着いたのです。

「烈」の使用例

「烈」は、主に強烈で激しい様子や、情熱・力強さを表す際に用いられます。

熟語

  • 猛烈(モウレツ):非常に激しいこと。
  • 熱烈(ネツレツ):情熱的で激しいこと。例:熱烈歓迎(ネツレツカンゲイ)。
  • 忠烈(チュウレツ):忠義の心が強く、節義を守ること。
  • 烈火(レッカ):激しく燃える火。例:烈火のごとく怒る (激しく燃える火のように怒る)。
  • 烈風(レップウ):非常に強い風。
  • 烈日(レツジツ):強く照りつける太陽。暑い日差しを表現する際に用いられます。
  • 烈女(レツジョ):気性が強く節操を守る女性。

慣用句・ことわざ

  • 烈火のごとく:情熱的で、非常に強い意志を持つさまを表します。
  • 烈しい風:非常に強い風。
  • 烈々たる:非常に激しいさま、または強烈なさまを表す形容動詞。

列の成り立ちが示す「切る」力

「烈」「裂」の音符である「列」も、実は深い意味を持っています。

  •  「かばねへん」=骨や死体を表す部首
  •  「りっとう」=刀を意味する部首

この組み合わせで「列」ができており、もともとは「骨を刀で切断して並べる」ことを意味していました。さらに篆文では、「毛髪のある頭骨を刀で断首し、墓前に並べる」という儀式的な意味も含まれていたとされます。

つまり、「列」には「並べる」だけでなく「切る」という力強い意味が込められており、「烈」の激しさを支える重要な要素となっているのです。

まとめ

最後に「裂」と「烈」の覚え方です。

「裂」という漢字は、衣服や布を切り裂くという具体的な行為から始まり、そこから「分ける」「引き裂く」といった抽象的な意味へと広がっていきました。そのため、破裂や分裂など、物を切り離したり分ける行為の場合は「」。

「烈」は、主に強烈で激しい様子や、情熱・力強さを表す際に用いられます。そのため猛烈や熱烈など、主に強烈で激しい様子、力強さを表す時は「」。

このように、イメージで覚えると間違いがないかと思います。