
旅行先やお取り寄せでよく目にする「特産品」と「名産品」。似た言葉ですが、実は明確な違いがあります。この記事では、ある特定の地域でしか作れない「特産品」の定義や具体例、そしてその土地で育てられたことで全国的に有名になった「名産品」の定義や具体例をわかりやすく解説します。
両者の決定的な違いである「知名度」や「地域分類の粒度」に注目し、違いを理解することで、お土産選びがもっと楽しくなり、地域の魅力をより深く楽しめるヒントをご紹介します。
特産品とは?

「特産品」とは、ある特定の地域で産出され、その地域でしか作れない(または基本的に栽培されない)品物を指します。これは、その地域の気候や風土、歴史的な経緯、地理的条件など、その土地独自の特性を最大限に生かして生み出された産物であると定義されます。
「特」という漢字が示すように、「その土地でなければ作れない」という意味合いが強く、市町村レベルで細かく地域が特定されることが多いという特徴があります。特産品は、その土地を訪れて味わうことで特別感を得られる品々です。
特産品の特徴
- 限定された地域性
ある特定の地域でしか産出されない、または栽培されないものが特産品とされます。 - 気候・風土・歴史との関連
その地域の独自の気候や風土、歴史的背景が深く関わって発展してきました。 - 地域分類の粒度
一般的に、市町村レベルなど「細かい」地域単位で特定されることが多いです。 - 多様な種類
食べ物だけでなく、工芸品など多岐にわたります。
主な特産品
特産品の具体例 特産品は、農林水産物、加工食品、工芸品など、多岐にわたります。以下に具体例を挙げます。
夕張メロン(北海道夕張市):北海道夕張市でのみ生産される限定品種です。
加賀なす(石川県金沢市)
越前ガニ(福井県丹生郡越前町)
松阪牛(三重県松阪市)
紀州漆器(和歌山県海南市)
新潟県の「魚沼市」で作られるお米:特定の市町村で作られるお米は特産品に該当します。
あかつき(福島県):福島県が独自に研究・開発した桃のブランド品種です。
ゆかり(愛知県):愛知県で創業の坂角総本舗が製造・販売する海老せんべいで、愛知県を代表するお土産の一つです。
金山寺味噌(和歌山県):和歌山県に古くから伝わるなめ味噌で、和歌山県推薦優良土産品に指定されています。
球磨焼酎(熊本県):熊本県人吉・球磨地域で、豊かな自然と良質な水、盛んな米生産を活かして作られた米焼酎で、産地呼称が認められた本格焼酎です。
その他、果物、肉、魚、野菜、ブランド化された食べ物、菓子、総菜(郷土料理を含む)、衣服、玩具、装飾品、日用品、伝統品、地場産業品などが特産品として挙げられます。

お土産選びの際には、その地域ならではの商品として特産品を選ぶと、贈った相手に大変喜ばれるでしょう。
名産品とは?
「名産品」とは、その土地で生産されたことによって、全国的に有名になった品物を指します。必ずしもその土地でしか作れないわけではありませんが、その地域がその産物の
「産地」として広く知られている場合に用いられる言葉です。
「名産品」と「特産品」の決定的な違いは、その「知名度」にあります。特産品が「その土地でしか作れない」ことに重きを置くのに対し、名産品は「その土地で作られていることが広く知られている」ことに注目しています。
名産品は、SNSやテレビの普及、有名人の宣伝などをきっかけに爆発的に知名度が上がり、増加傾向にあるとされています。地域分類の粒度としては、特産品が市町村レベルで細かく特定されることが多いのに対し、名産品は都道府県レベルなど、より「粗い」粒度で特定されるのが一般的です。
名産品の特徴

以下に名産品の特徴を挙げます。
全国的な知名度
その地域の産品であることが全国に広く知られている点が特徴です。
排他性の有無
必ずしもその地域でしか生産できないわけではありませんが、その地域が主要な産地として有名です。
知名度の要因
テレビやSNS、有名人の宣伝などが知名度向上に寄与することがあります。
地域分類の粒度
都道府県レベルなど、比較的広い地域単位で言及されることが多いです。
多様な種類
食べ物に限らず、幅広いジャンルの品物が含まれます。
主な名産品
名産品として挙げられる具体例をいくつかご紹介します。
宮城県の牛タン:宮城県といえばこれ、とすぐに連想される品物です。
静岡県のお茶:静岡県を代表する有名なお茶が名産品とされます。
ジャガイモ(北海道など)。
米(新潟県など):一般的なお米は多くの地域で生産可能ですが、新潟県産のお米は特に有名です。ただし、特定の市町村(例:新潟県魚沼市)でしか生産できないお米は特産品に分類されます。
みかん(和歌山県など):和歌山の紀州ミカンなどが有名です。
イチゴ(福岡県など)。
梅干し(和歌山県):和歌山県の名産品の一つとして知られています。

名産品は、その地域を代表する「顔」とも言える存在であり、お土産選びの際にも多くの人に選ばれています。
特産品と名産品の決定的な違い
「特産品」と「名産品」は似ているようで、実は明確な違いがあります。お土産選びなどで迷わないために、両者の決定的なポイントを簡潔にまとめます。
特産品とは?
ある特定の地域でしか生産されない(または基本的に栽培されない)品物のことです。
その地域の気候や風土、歴史的背景、地理的条件といった独自の特性を最大限に生かして生み出された産物であるため、「その土地でなければ作れない」という意味合いが非常に強いです。
市町村レベルで細かく地域が特定されることが多いのが特徴です。
例としては、夕張メロン(北海道夕張市)、松阪牛(三重県松阪市)、新潟県の「魚沼市」で作られるお米などが挙げられます。
名産品とは?
その土地で生産されたことが、全国的に広く知られ、有名になった品物を指します。
必ずしもその地域でしか作れないわけではありませんが、その地域がその産物の「産地」として広く認知されていることがポイントです。
特産品との決定的な違いは「知名度」にあります。SNSやテレビなどによって知名度が上がるケースも増えています。
都道府県レベルなど、比較的広い地域単位で言及されることが多いです。
例としては、宮城県の牛タン、静岡県のお茶、新潟県のお米(ただし、特定の市町村のお米は特産品)などが該当します。
Q&A
- ある品物が「特産品」であり、同時に「名産品」であることはありますか?
- はい、一つの品物が「特産品」と「名産品」の両方の性質を兼ね備えることは十分にありえます。 例えば、「夕張メロン」は北海道夕張市という特定の地域でのみ生産される限定品種であるため、「特産品」に分類されます。しかし、その品質の高さとブランド力から全国的に非常に有名であり、「北海道を代表する高級果物ブランド」として広く認知されているため、「名産品」としても挙げられます。 このように、特定の地域でのみ生産される特産品が、その優れた品質や希少性、または効果的なPRによって全国的な知名度を得た場合、それはその地域の「名産品」としても認識されることになります。
- なぜ「特産品」と「名産品」はしばしば混同されたり、同じように使われたりするのですか?
-
両者はどちらも「その地域の代表的な産物」や「その土地ならではの品物」という共通の認識を持たれているため、混同されやすいです。
また、日常会話やお土産選びの場面では、厳密な定義を意識せずに「地域に根ざした特別な品物」として同じように扱われることが多いため、区別されずに使われる傾向があります。
しかし、両者の違いを理解しておくことで、お土産選びの際に役立てることができます。その土地ならではの限定品を求める場合は「特産品」に、広く知られた地域の代表品を求める場合は「名産品」に注目すると良いでしょう。
まとめ
簡単にまとめると「その土地でしか作れない(排他性)」のが特産品であり、「その土地で作られていることが有名(知名度)」なのが名産品です。
この違いを理解することで、お土産選びがより楽しく、地域の魅力を深く味わうことができるでしょう。